果物に対する誤解
Introductionでも触れた通り、果物には様々な誤解があります。
- 果物はカロリーが高い
- 果物は血糖値を急激に上げる
- 果物は中性脂肪を上げる
このような誤解が「果物をあまり食べ過ぎると良くないのではないか」という態度に繋がっているようですが、実はこれらは全て間違いなのです。

一つ一つ丁寧に解説していきましょう。
果物はカロリーが高い
「果物は甘い」という事実から「果物はカロリーが高い」という誤った認識を持ってしまう方も多いのですが、これは誤解です。
『日本食品標準成分表』を見てみましょう。
カロリーの高いフルーツの筆頭格であるバナナでさえ100g(一本)あたりのカロリーは86kcal程度とかなり控えめです。参考までにチョコレートは100g557kcal、ショートケーキでも100gあたり344kcalと、お菓子の範疇として考えるなら果物のカロリーは十分に抑えられています。
ご飯茶碗一杯のお米が160g、そのカロリーはおよそ270kcal程度ですから、バナナ三本分に相当します。他の果物に目を向ければ、りんごが100gあたり54kcal、みかんなら46kcalと更に控えめです。
「果物はカロリーが高い」というのは全くの逆で、実は果物はお腹を膨らませつつカロリーを抑えるには格好の食材なのです。
果物は血糖値を急激に上げる
日本糖尿病学会は1日に80kcalのフルーツを摂取するよう推奨しています。学会の提唱する「糖尿病食事療法のための食品交換表」には、みかんなら中くらいのものを2個、りんごなら中くらいのものを半分……といった形で、むしろ積極的に食べるよう推奨されているのです。
それだけではありません。フルーツにはカロリー制限を行う人にとっては大切なビタミンC、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれており、中でも食物繊維は余分な糖の吸収を抑えて体外に排出する働きを持っています。血糖値の上がりやすさを示すGI(グリセミック・インデックス)という指標を見ても、白米やイモ類の三分の二程度の値に落ち着いていることが分かるでしょう。果物は健康食なのです。
果物は中性脂肪を上げる
「フルーツに含まれる果糖が体内で中性脂肪に変わる」という実験があります。人間ではなくマウスを使った実験で、得られた結果それ自体は妥当なものではありましたが、前提となる条件はかなり厳しいものでした。
この実験の際にマウスが摂取した果糖の量はエサのおおよそ20%ほどとされています。人間に置き換えると一日の栄養の20%を果物から摂ることになるのですが、人の一日の摂取カロリーを2000kcal程度とするなら、その20%を果物から摂る場合はりんご換算で12個、みかんなら30個ほど食べる必要があります。この数値を日常生活で実現するのは不可能に近いでしょう。
果物の中にはりんごのように「体内の中性脂肪を整える」効果のあるものもあります。りんごを3週間にわたって食べ続けた結果、中性脂肪の多過ぎる人は量を抑えられ、逆に中性脂肪の少ない人は必要なラインまで中性脂肪が引き上げられたという実験があり、中性脂肪に関してはむしろ果物を食べた方が良いとさえ言えます。
果物を食べる時に気を付けるべきは、ジュースやお菓子のような加工食品をなるべく避けることです。これらの加工食品には大量の砂糖が含まれているため、果物のヘルシーさを台無しにしています。ドライフルーツのように添加物控えめで加工されたものでない限り、果物は加工品ではなく生のまま食べるのが良いでしょう。
果物は身体に悪いわけではない
果物に関する誤解が晴れたところで、では本当に果物は身体に良いのか?という問いかけに応えていきましょう。次回のLessonでは、果物がなぜ身体にいいのかという観点から、健康食としての果物の在り方をご紹介します。