Introduction

野菜や果物は本当に身体に良いのか?

「野菜は健康に良い」

そう信じている方がほとんどだと思います。

野菜不足の生活にメリットはありません。ご飯やパンなどの炭水化物、肉類ばかりの食生活を続けていると、私たちはみるみる不健康になり、体調を崩しやすくなったり、太りやすく疲れやすい身体になっていきます。

でも果たしてこれは本当のことなのでしょうか?

確かに野菜を意識的に食べなければビタミンやミネラルは不足していきますし、食物繊維だって十分には摂取できません。しかし、肉類にだってビタミンは含まれていますし、ジュースの中には食物繊維をたっぷり含んでいるものもあります。

 

コンビニやドラッグストアに行けば栄養素を補完するためのサプリメントがたくさん置いてありますし、世の中には「野菜をいくら食べても1日に必要な栄養素の摂取量には届かない」「だから適切にサプリメントを飲む必要がある」と豪語する方も多数いらっしゃいます。

ひょっとしたら、私たちは野菜を食べなくても十分な健康が保てるのではないでしょうか?

野菜を食べなくても健康的に生きていける?

実を言うと、野菜を食べずに健康を維持するのは不可能ではありません。

例としてカナダやグリーンランドの先住民として知られるイヌイットの人々の食生活をみてみましょう。

イヌイット式の食生活は肉類が中心です。西洋の食生活が流入してからはだいぶ西洋よりになったと言われていますが、現在でも彼らの食事の中に穀類はあまり含まれていません。北極に近い極寒の大地で農業を営んでも、農作物はほとんど育たないので、野菜類を基本的に口にすることはありません。米や小麦、野菜を食べない食生活はすぐに破綻しそうに思えますが、彼らは何百年にも渡って健康的な生活を維持してきました

なぜそんなことが可能なのでしょうか?

答えは簡単、イヌイットの人々は肉類から必要な栄養素を摂取していたからです。肉類には豊富なビタミンが含まれていますし、人間の身体には炭水化物の代わりにタンパク質を糖質に変換する機能が備わっています。だから肉さえ食べれば生きていくことは不可能ではない……それを実践していたのが伝統的なイヌイットの人々だったのです。

ここで淡い希望を抱く方もいらっしゃるでしょう。イヌイットの人々に出来るなら同じ人間である私たちに出来ないはずがない、と。

しかし、残念なことに現代人が同じことをすると身体を壊してしまいます。

なぜでしょうか。

これも答えは簡単です。イヌイットの人々が食べているのはただの肉ではありません。「生の」肉や内臓、血液です。これらは火を通して塩を振ると美味しくいただけるようになるのですが、残念なことに栄養素の多くは破壊されてしまいます。

私たちがイヌイット式の食生活を上辺だけ真似して焼いた肉ばかりを食べてしまうと、ビタミン不足に陥ってしまい、健康的な生活を維持するどころか栄養不足で倒れてしまいます。では調理せずに生肉を食したらどうなるでしょうか? 確かに栄養素は摂取できるかもしれませんが、今度は食中毒の危険が付きまといます。現代では保存状態の良い新鮮な生肉を手に入れるのはそう簡単なことではありませんし、衛生上の問題で、生の肉をそのまま出してくれる店もほとんどないでしょう。

この事例から分かる通り、私たちは必要な栄養素をきちんと摂取しさえすれば野菜を食べなくても健康的に生きていけるのですが、その食生活は極めて難しいものになります。現代日本で毎日生肉や生の内臓を食べるような生活をするぐらいなら、安全で美味しくいただける野菜を食べる方がずっと簡単でお手軽と言えるでしょう。

とはいうものの、野菜を適切に調理して食べるのだって簡単ではありません。肉を調理すればビタミンが壊れてしまうように、野菜類だって調理の仕方を間違えると大切な栄養素を逃してしまう可能性があります。

いくら野菜が身体に良いとはいっても、せっかくの栄養素を台無しにしてしまったら意味がありません。私たちが健康的な生活を維持するためには、正しい保存法や調理法を知らなければならないのです。

果物は身体に良い?

野菜を食べる重要性はお分かりいただけたと思いますが、果物についてはどうでしょうか?

世の中には……

  • 果物はカロリーが高い
  • 果物は血糖値を急激に上げる
  • 果物は中性脂肪を上げる

などなど、「手軽に食べられて美味しいけど身体に良いわけではない」という印象をお持ちの方もいらっしゃるようです。確かに果物はとても甘くて美味しいですから、お菓子と同じようなものとして考えてしまう方も多いのでしょう。

これらは全て誤解です。

世の中には「フルーツだけ食べて生きている」という方もいらっしゃるほどで、実は果物の健康効果は野菜と並び称されるほどに高いものなのです。

アメリカで1991年から始まった「5A days」という運動をご存知でしょうか。これは毎日5皿分の野菜と200g以上のフルーツを摂取するというもので、元々はがん予防の運動として始まったものですが、現在では肥満大国とまで言われるアメリカの健康状態を改善する取り組みとして広まっています。

日本ではお菓子と同列のものとみなされがちなフルーツですが、世界的にはむしろ野菜と同じように健康に良い食べ物として扱われています。私たちはフルーツの甘さを前に「摂り過ぎは良くない」と勘違いしてしまいがちですが、その誤解は間違いなく私たちの食生活を貧しいものにしています。私たちはもっと果物を食べても良い……いえ、もっとたくさん食べるべきなのです。

野菜と果物にはこのような誤解がたくさんあります。本講座では様々な誤解に科学の光を当てることで、素敵で美味しい食生活への道を提示していく予定です。

野菜&果物講座とは

本講座で得られる栄養学的な知識は以下の通りです。

  • 私たちの身体を健康に保つために必要な栄養素
  • 野菜や果物に含まれる様々な栄養素
  • 栄養を保つための適切な調理法

これらを学ぶと、私たちは「何を食べれば良いか」で迷う必要がなくなります。

  • 健康的に生きるためにはどんな栄養素が必要か?
  • その栄養素を摂取するためにはどの野菜・果物を食べれば良いか?
  • それらの野菜や果物の栄養を損なわない調理法は?

と、順番にステップを踏めるようになればしめたものでしょう。あなた自身の身体のみならず、お子さんや友人にも適切なアドバイスが出来るようになります。もしあなたが家庭を預かる主婦・主夫であるなら、本講座で得られる知識は家族全員の健康を保つのに大変役に立つことでしょう。

この知識をもっと深めていけば、誰に対しても適切な「野菜や果物とその調理法」を伝えていくことが出来るようになるでしょう。この技能は家庭のみならず、健康を気遣う仕事に就く際にも強力な武器として生きてきます。

また、本講座では野菜・果物の保存法や名前の由来、産地や日本の農業事情についても取扱っていきます。伝統的な産地や食料事情などの包括的な知識を得ることで、野菜や果物に詳しいプロとして一目置かれるようになりましょう。